水素製造・燃料電池

次世代エネルギー「水素」の製造システムやその水素と空気中の酸素の化学反応によって発電する燃料電池システムの電解質材料に用いられているのが、プロトン(H+)やアニオン(OH-)を高速で輸送するイオン伝導性高分子です。システムのさらなる高性能化には、高イオン伝導性だけでなく、高い化学的・機械的安定性も求められます。

イオン伝導・化学的特性


イオン電導・化学的特性

プロトン(H+)やアニオン(OH-)の輸送は、他のイオンと異なり、Grotthuss機構と呼ばれる水分子との化学反応を伴う複雑な機構を考慮する必要があります。さらに、これらのイオンは電解質膜内に形成されたナノスケールの水ドメインを移動するためドメイン構造や輸送機構に大きく起因し、実験やマクロスケール解析によって輸送現象を理解することは困難です。そこで、本研究では量子化学計算の結果を基に独自に構築した反応MDモデルを用いて、水ドメイン構造とイオン伝導メカニズムとの相関を明らかにします。また、酸化ラジカルやアルカリ耐久性の観点から高分子構造の化学的安定性の評価も行っています。

高次構造・機械的特性

高次構造・機械的特性

高分子は分子内および分子間の相互作用により自己集合化や自己組織化し、様々な分子集合体による高次構造を形成します。それらの構造は高分子材料の性質と大きく関連するため、高分子材料の物性制御にはそれを構成するナノスケールの水ドメインを含むミクロ相分離構造の制御が不可欠である。本研究では、複数原子を一つの粗視化粒子として取り扱う粗視化MDを用いて、構成高分子の一次構造と高次構造およびその物性との相関の解明を目指しています。

薄膜・分散液(成膜プロセス)


薄膜・分散液(成膜プロセス)

高分子薄膜は、高分子からなるnmオーダーの薄い膜であり、燃料電池、水電解、高分子アクチュエーター・センサなど幅広い用途での応用が急速に展開されています。薄膜化により接触雰囲気あるいは物質との界面領域の膜全体に対する体積分率が高いため、バルク状態(μmオーダー)の高分子とは異なる物性や異種材料との界面構造の理解および制御が重要である。また、成膜プロセスなどに用いる分散液中における高分子の集合体構造についても解析を行っています。

二次電池

リチウムイオン内包フラーレン

リチウム内包フラーレン(Li+@C60)は非常に高いイオン伝導性を示すなどフラーレンに無い特長をもった新しいナノ材料として様々な応用が考えられています。蓄電デバイスや有機太陽電池などのフレキシブルな有機エレクトロニクスデバイスへの応用も可能性の一つです。本研究では、Li+@C60を用いたリチウムイオン電池や全固体型二次電池への展開を目指して、Li+@C60の動的挙動についてMDシミュレーションを用いて解析を行っています。

全固体リチウムポリマー

全固体リチウムポリマー

既存のリチウムイオン電池は可燃性の有機溶媒を用いているため、液漏れに伴う発火のリスクを潜在的に抱えている。そこで、有機電解質を難燃性のリチウムイオン導電性ポリマー電解質を用いた全固体型のリチウムイオン電池が注目されている。本研究では、高機能(高伝導・高輸率)な電解質膜の開発に向けて、リチウムイオン輸送メカニズムの分子論的解析を行っています。

CO2回収技術

金属有機構造体(MOF)

CO2回収技術

金属有機構造体(MOF: Metal Organic Framework)は、金属イオンと有機配位子の自己組織化によって得られるナノスケールの細孔を持つ多孔性材料で、工場や発電所から放出される排ガス中のCO2回収技術としての応用が期待されています。金属イオンと有機配位子の組み合わせにより自在な設計が可能であり、高CO2吸着性およびそれを長期的に達成する高安定性を有した新規材料の開発に向けて、MDシミュレーションを用いた高CO2吸着性・高安定性を有するMOFの理論的設計指針の提案を行うことを目指しています。

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